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2020年“超”モノづくり部品大賞「健康福祉・バイオ・医療機器部品賞」受賞

CHIDORI ディスポーザブル アクティブ電極

CHIDORI ディスポーザブル アクティブ電極

  1. 受賞した製品の特長

    電気メスは金属の刃に高周波の電流を流し、人体を切開・止血する機器である。当社は各種産業分野で蓄積した金属表面処理技術を生かし、新たに開発した表面処理剤を電気メスの刃先(アクティブ電極)の特定箇所に塗装することにより、炭化物付着抑制および温度上昇制御の新たな機能を付与した。

    メス先の焦げ付き
    (左:CHIDORI 右:無塗装)
    メス先の焦げ付き

  2. 技術の独創性

    当社は、炭化物の付着を抑制することが可能な表面処理剤を開発した。さらに抵抗値の増加による温度上昇を制御するためにメス先電極の側面を露出させる設計とした。具体的には炭化物の付着はメス先電極の平面部となる大面積部分に生じるため、この部分を開発したシリコーン樹脂系の表面処理剤でコーティングすることにより抑制した。また、抵抗値の増加による温度上昇の制御は、微細塗装が可能な塗装技術により側面部のみを非塗装とすることで達成した。

  3. メス先電極の設計について

    メス先電極の設計について

  4. 性能
    4-1.炭化物付着の抑制
    血液炭化物の付着力を測定するため、スクラッチ試験機を用いて評価した。実際の手術現場ではメス先電極の先端に付着した血液凝固物をやすりなどにより削り取ることで対処しているため、スクラッチ試験はその状況を模擬したものである。水準は無塗装品、全面塗装品およびCHIDORIである。これらのメス先電極の先端を豚血液に2mm挿入して放電し、メス先電極の表面に焦げ付きを生じさせ、拭き取り力を測定した。結果、無塗装品は約0.76Nの高い拭き取り力に対し、全面塗装品は約0.45Nであり、CHIDORIは約0.25Nで、もっとも低い拭き取リ力であった。

    メス先電極種と炭化物拭き取り力
    メス先電極種と炭化物拭き取り力

    試験装置の概要
    試験装置の概要

    4-2.温度上昇の制御
    放電時の温度上昇を測定するため、メス先電極の先端を豚血液に2mm挿入して、試験片上が空気に触れる状況下で5秒間の放電を行った。その際の試験片上部の最高温度を赤外線カメラによって測定した。水準は無塗装品、全面塗装品およびCHIDORIである。
    結果、全面塗装品の温度上昇が最も高く、5秒後には約400°Cとなった。一方、CHIDORIは無塗装品と同様に温度上昇が緩やかであり、5秒後の到達温度は300°C以下であった。無塗装品はCHIDORIと比較し、温度が上下に変化し易い傾向が見られた。これは炭化物が付着し抵抗が上昇した後に炭化物が剥離する影響と考えられる。

    メス先電極種と温度上昇
    メス先電極種と温度上昇

    試験装置の概要
    試験装置の概要

    RAIKIRI ディスポーザブル ペンシル
    RAIKIRI ディスポーザブル ペンシル

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