日本パーカライジング株式会社

NIHON PARERTIXING GROUP

日本パーカライジング株式会社

NIHON PARERTIXING GROUP

表面改質技術による環境貢献 ~表面改質は未来を変える~

表面改質技術とは

すべての“モノ”に表面があります。表面改質とは、この“モノ”が持つ本来の特性を変えることなく、外界に接している部分、つまり“表面のみを変える”技術です。この技術により、”モノ”が持つ本来の特性をさらに伸ばしたり、大きく変えたり、時には全く相反する性質を付与することが可能になります。

例えば、鉄に表面に薄い皮膜を形成させることで錆を防ぎます。また、鋼(はがね)の表面から数㎛(マイクロメートル)レベルの深さを改質することで、より硬くなり、摩耗を防ぎます。つまり、”モノ”の寿命を延ばすことができます。

表面改質とは、”モノ”を大切にすることから生まれた知恵であり、まさにサステナビリティの考え方を体現した技術といえます。

表面改質技術による環境貢献

もしも、表面改質技術がなかったら?

有用性の高い材料である金属は、今後も使われ続けていくものと考えられます。しかし、鉱石から金属を得る過程で大量のエネルギーが消費され、GHG(温室効果ガス)を排出をしています。こうして得られた金属を大切に使うこと、すなわち、化学的摩耗である腐食や機械的損耗である摩耗から金属材料を守ることが重要な課題です。

腐食や摩耗の例:腐食の進んだ自動車写真

日本における防錆防食に掛かる費用(腐食コスト)、4.3兆円*1を用い、この腐食コストと金属損失量(金額より換算)を同等とし、失われた材料を新たに補わなければならないと仮定した場合、金属製錬過程で新たに8,000万トンものCO2が排出されることになります。世界規模で考えれば38億トンもの排出となり、これは世界のCO2排出量*2の11%にも相当します。一方、先進国での摩擦・摩耗コスト*3を用いて国内金属損失量を算出し、その部分を新たに補うと仮定するとその製造過程で腐食とほぼ同等の8,000万トンものCO2が排出されることになります。

  1. *1:公益社団法人腐食防食学会/一般社団法人日本防錆技術協会:わが国における腐食コスト(2020)
  2. *2:EnergyInstitute:CO2二酸化炭素排出量(EI統計)
  3. *3:K. Holmberg:Tribology International, 135, 389-396(2019)

日本における腐食コスト

(防錆防食に掛かる費用)

4.3兆円

日本における金属損耗

(化学的損耗+機械的損耗)

16,000万トン

CO2排出量削減への当社グループの貢献

形成される表面処理皮膜の効果は、自動車の外観寿命を3倍*4に伸ばすとされています。これにより自動車ボディの新たな製造が抑制されたと仮定すると国内向けだけでも年間177万トン、対象を世界に広げると544万トンものCO2排出を抑制する効果があります。

また、当社は、自動車部品を中心に表面を硬化させる表面改質技術を提供しています。この技術により、耐摩耗性は12倍*5に向上するとされています。この技術を利用した自動車部品の製造が抑制されたと仮定すると、年間あたり国内で47万トン、グループを含む世界では252万トンのCO2排出を抑制していると考えられます。

当社では、省資源、有害物質の削減、低減にも努めてきました。特に、1990年代より「環境負荷低減」を研究開発のキーファクターと定め、製品開発を進めた結果、りんフリーやクロムフリーの製品・技術を上市しています。図は、当社の国内薬品事業に関わる原料に由来するCO2排出量*6と単位売上あたりに換算したCO2排出量の年次推移を示したものです。単位あたりのCO2排出量は、2002年をピークに年々下げることに成功しており、現在までに44%もの削減が実現しました。

  1. *4:日本パーカライジング(株)総合技術研究所:腐食促進試験結果より算出(2023年)
  2. *5:日本パーカライジング(株)総合技術研究所:耐摩耗試験結果より算出(2023年)
  3. *6:産総研 IDEA Ver.3.2を使用して算定

薬品事業のCO2排出量推移のグラフ。CO2排出量は、2002年をピークに年々下がり、現在までに44%削減

表面処理皮膜の効果
自動車の外観寿命は

3

表面を硬化させる表面改質技術
耐摩耗性は

12

CO2排出量

44%減少