表面改質技術による環境貢献 ~表面改質は未来を変える~
表面改質技術とは
すべての「モノ」には表面があります。表面改質とは、材料や部品が本来持つ特性を生かしながら、外部環境と接する表面部分の性質を変化させる技術です。用途や要求性能に応じて表面に新たな機能を付与することで、材料単体では得られない特性を実現できる場合があります。
例えば、鉄の表面に保護皮膜を形成することで腐食の進行を抑制したり、鋼(はがね)の表面近傍を数ミクロンレベルで改質することで耐摩耗性を向上させたりすることができます。これらの技術は、使用環境や条件に応じて部品や設備の性能維持や寿命延長に寄与する可能性があります。
また、必要な機能を表面に付与することで、材料全体を高機能材料に置き換えずに要求性能を満たせる場合があります。その結果として、既存設備や部品の継続使用、交換頻度の低減、資源の有効活用につながる可能性があります。
ただし、その効果は対象となる材料、使用条件、維持管理の方法などによって異なります。表面改質技術が環境負荷の低減にどの程度寄与するかについては、個々の用途やライフサイクル全体を踏まえて評価することが重要です。
当社は、表面改質技術を通じて部品・設備の耐久性向上や長寿命化に取り組み、資源の有効利用に貢献することを目指しています。
表面改質技術による環境貢献
もしも、表面改質技術がなかったら?
近年、地球温暖化に伴う気候変動は、人々の生活や自然環境、生態系にさまざまな影響を及ぼしています。このような状況を背景に、環境負荷の低減と資源の有効活用に配慮した社会の実現が求められています。
では、産業界に携わる私たちに何ができるのでしょうか。私たちは、「適所適材」と「長寿命化」を重要な考え方として掲げています。
人類が金属を利用し始めてから数千年が経過しました。金属は強度や加工性、耐久性などの特性を有しており、用途に応じて適切な材料を選択する「適所適材」の観点から、今後も社会基盤を支える重要な材料の一つであり続けると考えています。
一方で、鉱石から金属材料を製造する過程では多くのエネルギーが必要とされ、温室効果ガス(GHG)が排出されます。そのため、新たな資源投入の必要性を抑える観点からも、既に製造された金属材料をできるだけ長く使用することが重要です。
私たちは、金属材料の寿命延長に貢献する技術や製品の提供を通じて、資源の有効活用と環境負荷低減に取り組んでいます。具体的には、化学的損耗である腐食や、機械的損耗である摩耗を抑制し、設備や部材の長寿命化を支援することで、材料の有効利用に貢献していきます。

当社の試算では、日本における防錆・防食に関連する費用(腐食コスト)4.3兆円*1を基に、腐食により失われた金属材料を新たな材料で補う必要があると仮定した場合、その製造過程において約8,000万トンのCO₂が排出される可能性があると推計しています。
また、同様の考え方を用いて、先進国で報告されている摩擦・摩耗コスト*2から国内の金属損失量を換算し、その損失分を新たな材料で補うと仮定した場合にも、製造過程で同程度のCO₂排出が発生する可能性があると推計しています。
これらの試算は複数の仮定に基づくものであり、実際の排出量を示すものではありません。しかし、金属材料の腐食や摩耗による損失を低減し、既存の材料や設備をより長期間活用することは、新たな資源投入や材料製造の必要量を抑制する可能性があります。
そのため、防錆・防食技術や耐摩耗技術は、設備・部材の長寿命化を通じて資源利用効率の向上に貢献する技術の一つであると当社は考えています。ただし、その環境効果は対象設備の使用条件や更新計画、材料種別などによって異なるため、個別の製品や技術がどの程度のCO₂排出削減につながるかを一律に示すものではありません。
日本における腐食に起因する
社会的コスト
約4.3兆円*1
日本における腐食損失に伴う
潜在的CO₂排出量
約8,000万トン*3
日本における摩耗損失に伴う
潜在的CO₂排出量
約8,000万トン*4
- *1:公益社団法人腐食防食学会/一般社団法人日本防錆技術協会:わが国における腐食コスト(2020)
- *2:K. Holmberg:Tribology International, 135, 389-396(2019)
- *3:腐食により失われた材料を新たに製造して補うと仮定した場合の潜在的なCO₂排出量を当社が試算したものです。当社グループによる直接的なCO₂削減量を示すものではありません。
- *4:摩耗により失われた材料を新たに製造して補うと仮定した場合の潜在的なCO₂排出量を当社が試算したものです。当社グループによる直接的なCO₂削減量を示すものではありません。

